犬のしつけ【しほ先生インタビュー】日本と海外の違いとは?
【この記事の所要時間:約 10 分】
犬のしつけ、うまくいっていますか?同じ愛犬家でも日本と海外では結構な違いがあるようです。
今回はカリスマ訓練士でいらっしゃる「しほ先生」にインタビューをしてきましたのでそちらをご紹介します。
「しほ先生」はアメリカのトリプル・クラウン・ドッグ・アカデミーで犬訓練・行動学専門家の資格を取得されました。
そんな海外の事情も良くご存知のしほ先生に日本と海外の違いを教えていただきます(^^)
犬のしつけの専門家「しほ先生」プロフィール
しほ先生は、アメリカの
トリプル・クラウン・ドッグ・アカデミーで
犬訓練・行動学専門家の資格を取得され、
ご卒業後に優秀生徒として選抜され
指導者として同校に勤務されていらっしゃいました。
当時は毎日20頭もの犬を訓練されていたそうです。
その訓練能力の高さを認められ
タランティーノ監督の映画で
撮影協力をされました。
また、日本に帰国後はNHKの番組で
ドッグトレーナーとしても出演されたり、
現在は犬のしつけ施設兼ペットホテルを経営され
毎日犬まみれの生活を送っていらっしゃる
カリスマ訓練士なんですね(^^)
犬のしつけ施設兼ペットホテルである
「ワンコワークス」では
繁忙期になると40~50頭もの犬を
お預かりしているそうです。
そんなしほ先生に、先日あるセミナーで
お会いすることができたので
色々とインタビューをしてきました。
今日は、アメリカで訓練士の資格を取られた
しほ先生に日本と海外の愛犬家の違いを
教えていただきます!
犬のしつけで日本と海外の違いとは?

日本の愛犬家さん達の意識は以前よりも高くなったと思いますが、海外を良くご存知のしほ先生は、日本と海外の愛犬家さんの違いって何か感じられていますか?

私が学んだ国はアメリカだけどアメリカで言えばそんなに意識が高い国ではありません。
飼い主さんの意識が高い国といえば、欧米の中でもドイツとスイスが訓練大国ですね。
スイスは犬を飼う前に国の決めたコースをとって犬を飼う資格をとらないといけないんですよ(^^)
日本も本来そうあるべきだと私は思っています。
欧米と日本で大きく違うのが、犬を飼うときの指導についてです。
犬を飼うということに対して「どういうことをしていかなきゃいけないのか?」ということが、欧米では明確だけど日本では明確どころかやらなきゃいけないことがあることすらわかっていない状態で、犬を飼い始めてしまいます。
犬を飼うには、ペットショップで購入する方が非常に多いと思います。
保護団体から犬を引き取るということもできるので、不幸な犬を増やさないためにはそういった選択肢を知っておいてほしいですが、実際、保護団体から犬を引き取るときに、とてもいろいろな検査がありますし、その後の報告の義務もあります。
引き取るのにふさわしい人かどうかを、ほとんどの団体でチェックされるので、お金さえあれば簡単に手に入るペットショップで飼う人が多いのは仕方ないかもしれません。
とても相談をよく受けるんだけど、買ったペットショップでこういわれましたって言うことがダメダメのものだったりします。
そして、犬のことを知らずに飼い始めるから、可愛がればいい子に育つとか、一緒にトイレを入れておけば勝手に覚えるとか。。。
ありえない話だけど日本の飼主はそう思っている人が多いと感じます。

動物愛護法が改正されて、動物を売るときに説明するということが決まったけど、案内の内容については自由なんですよ。
しつけに関しては店員さんの裁量に任されているのが実情。
ペットショップなんで、「このグッズとこのグッズを入れておけばうまくいきます」なんて言う説明をされていることも結構あるんですね。
でもそれじゃダメだから、うまくいかなくなって失敗を繰り返してから訓練士に相談するんです。
最初からやっておけば2週間でできたトイレのしつけが、やり直しのしつけをしなきゃならなくなるから、とても大変になってしまっているのが今の現状です。
最初からこういうふうにやるという専門の知識をステップごとに示したマニュアルみたいなものを整備できないのかといつも思っていますよ。
訓練大国のスイスのように、犬を飼うと同時、できれば買う前に学んでから犬を飼ってほしいと思います。
心の準備として「どんなことをしなくちゃいけないか」「どんなことが起こりえるのか」「何をしないとどんなことになるのか」「どんな心づもりでいないといけないのか」という所を理解してから飼ってほしいですね。

なるほどですね。
訓練大国のスイスはさすがですね!車の免許を取るみたいに、犬の免許のようなものがないと犬が飼えないとは。
やり直しのしつけをするから、よけいにしつけが大変になってくるということですね(´・ω・`)
だから、日本人はしつけが苦手だという飼い主さんが多いんですかね?

間違えた方法でしつけてから、やり直しをするのは難しいことです。
だから間違えた方法でしつけをする前に「ちゃんと学んでおけばよかったのにね」というケースがあまりにも多いと思います。
私はそこが一番変えたいところ。
その部分が変われば、全体的な殺処分というものも減ると思っています。
アメリカでいえば、日本と同じで問題が起きてから相談に来るケースが多いです。
でも、アメリカと日本の大きな違いは、日本では犬は家族の一員(一応、終生飼養が義務)だけど、アメリカでは人を傷つけるリスクをなくすため、飼い主が殺処分するのが正しいこととされているんです。
アメリカだと問題を起こしてしまった犬は、飼い主の責任で動物病院などで安楽死をさせないといけないという認識なんですね。
だから手におえない攻撃的な犬の数というのは、アメリカよりも日本の方が多いかもしれないと思います。

やり直しのしつけは遠回りになりますよね。
攻撃的な犬に対するアメリカの認識は、アメリカらしい気もしますが…
日本では小型犬が多いですが、アメリカはやはり大型犬が多いんですか?

アメリカではラブラドールとか、ゴールデンが主流(やはり大型犬が多い)ですね。
ヨーロッパでも、大型が人気で、ドイツでは一番はポインター二番はシェパードです(^^)

大型犬は力もありますし、運動量も必要ですよね。パワフルという印象です。
そんな大型犬が人気ということは、住宅事情などもあるでしょうが、意識が高いから大きな犬でもしつけられるということですか?

イメージで言うと、そう思うのもわからなくないですが…
そもそもその考え方は間違っていて、犬は犬だから大きかろうが小さかろうが、やらなきゃいけないことは同じなんです。
同じ行動をしたときに、大型の方がインパクトがあるだけなんです。
でも、インパクトがある分、大型犬の飼主さんは危機感を持ちやすいといえます。(飛びつかれたらどうにかしなきゃとか甘噛みでも痛いし)
だから、しつけや訓練ということに対して早く行動を起こすので、問題行動をやめさせることができるのかもしれません。
ここで、覚えていてほしいのは、実は小型犬の方が問題行動を起こしやすいということです。(例えば過剰に吠えたりとかブルブルしたビビり犬になったりするとか)
小型犬の飼主さんはそこら辺が甘いというのはいつも思っています。
飛びつかれたとしてもたいしたことないし、むしろそれをかわいいと思ってしまう人が多いんですね。
しつけの上では、犬の飛びつきは治さなくてはいけない行動なんですよ。でも小型犬の飼主さんはしつけで直さない人が多いです。
だから、小型犬の方が、どんどん問題行動が悪化していきやすくなっているといえます。
犬は犬だから大きさで見ちゃいけないんです。
日本は家庭事情で小型犬を飼う人が多いから、問題犬も多くなっているということを知っておいてほしいです。
犬のしつけ施設兼ペットホテル「ワンコワークス」について

それでは今度は、しほ先生が経営なさっているワンコワークスについて教えてください。
毎日、どれくらいのワンコがいるんですか?

繁忙期はお正月・ゴールデンウイーク・お盆(夏休み)なんですが、繁忙期は40~50頭いることも多いですよ(^^)
少ない時(平日)は5~6頭のときもあるので、けっこう波がある感じです。
場所は一緒なんですが、ペットホテル部門と訓練部門にわかれています。
訓練のワンコは通いのコースで、訓練をして、遊んで帰るようになっています。
ホテルのワンコはドッグランみたいな感じで、たくさん遊べるようになっていて、お約束の日数お預かりしていますが、ワンコのストレスを発散させてお返しするという感じになっています。
お泊り以外に、日帰りのコースもあるんですよ。飼い主さんが忙しい時はうちに預けて帰りにお迎えに来てかえるみたいな。
ドッグラン中は、どちらにしても飼い主さんはドッグランの中に入れないようになっているので、お留守番させるよりも犬を元気に遊ばせてあげたいという方が良くご利用されています。

なんていい環境なんでしょう!
ワンコワークスのお近くの人が羨ましいですね!

私も良いサービスだと思っています(^^)
ドッグランは増えているけど、ドッグランでは飼い主さんがずっとついていないといけないですからね。

ドッグランはマナーの悪い飼い主さんもいると聞きますが。

ドッグランでは飼い主さん同士の派閥があったりするんですよ。
犬は、飼い主さんが一緒にいることで「家族単位で一つの群れ」になってしまい、他の犬たちと仲良くしにくくなってしまいます。群れ同士のぶつかり合いが起きてくるんです。
普段は飼い主さんと1対1だけど、群れ同士になると「なんだ!気に食わない」みたいなものが出てきてそこでぶつかり合いが起こったりもします。
でも、ワンコワークスみたいに、先に群れがあるところにワンコが一匹でポンと入るようになるので、威張る犬というのはとても少ないです。
飼い主はドッグランには入らないでもらっているので、犬だけで群れを作って、私たちトレーナーがリーダーになって、どうやって遊ぶと楽しいのかを教えていくんです。
遊びや団体行動の中で、人ってどういう存在なのか?を学んでいけるというのが、犬にとって非常に良いところだと思います。
何も教えなくても、犬自身が学んで帰れる環境になっていますから。

それならリピーターの方も多そうですね!
遠くから預けにきたりする方もいらっしゃいますか?
お預かりの日数なんかはどれくらいが多いですか?

リピーターさんはとても多いです(^^)
やはり地元の方が多いですが、1週間とか長期の間、家を留守にしないといけない場合、ずっとケージに入れておいたらかわいそうだからと、東京や大阪から預けにくる人も結構いますね。
1日や日帰りで遊ばせて変える方も多いんですが、やはり夏休みとかお盆、年末年始などで旅行をする場合は、その旅行の日数お預かりということも結構あります。

ワンコワークスの近くに住みたいですね(笑)
今まで何万頭という犬をお預かりしてきたということですが、ビックリするワンコなんかはいましたか?

びっくりしたというか…
心臓に悪い子は、フェンス(高さ165㎝くらいの高さがある)を飛び越えるワンコがいました。
飛び越えるとかよじ登る子がいるんですよ。老犬の柴犬がよじ登ったこともあります。
だから、最初にお預かりした時にワンコの様子を見て、出たがる素振りを見せる子は要注意で見ています。
要注意犬には予防策としてワンコワークスの名札を付けて、目を離さないなどの気を使っています。

かなり高さのあるフェンスなのに、飛び越えるんですか(゜o゜;!!
それは目が離せませんね。
じゃ今度は…大変なワンコも来たリしますか?

いっぱいいっぱいいますよ(笑)
できればしつけをさせていただきたい!と思うわんこはたくさんいます。
だけど訓練コースで来ている子じゃなくて、ホテルでお預かりしているだけのワンコには、あえてしつけはしないようにしています。
なぜかというと、飛びつきなどはしつけすべき行動なんだけど、それが好きな飼い主さんかもしれないからですね。
飛びついて出迎えてくれるのが嬉しいと思う飼い主さんは少なくないんです。
基本的にホテルで預かっているときは、預かった姿でお返しするようにしています。
インタビューを終えて
セミナーの懇親会の時間に
1時間ちかくインタビューをさせていただきましたが
嫌な顔一つせずに答えてくださいました。
しほ先生の犬に対する愛情の深さや
想いをとても感じることができ、
とても素晴らしい方だと改めて思います。
ご自分でも、毎日犬まみれになっている
とおっしゃっていましたが
その犬まみれの環境だからこそ
しほ先生の訓練能力が高くなり
どんどん進化されているんですね♪
本当に素晴らしい!
今回ご紹介したのはインタビューの全て
ではありませんので、また機会を見て
しほ先生のお話はご紹介したいと思います。
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