現代病として犬も気をつけたいがん(腫瘍)。
今回は皮膚にできるがん(腫瘍)についてご紹介します。
皮膚の腫瘍は、乳腺腫瘍についで多い病気です。
悪性と良性の両方の病名と症状を見ていきたいと思います。
皮膚にできてない?腫瘍をチェック
皮膚の腫瘍は、とてもよく見られるものです。
私たち人間も皮膚に何らかの腫瘍が
できてしまうことはありますが
犬の場合は人間のおよそ30倍以上の確率で
皮膚の腫瘍が発生すると言われています。
皮膚にできる腫瘍は
良性と悪性の2種類あります。
愛犬に腫瘍と思われるものを見つけたら
とても焦ってしまうお気持ちはわかりますが
悪性の皮膚腫瘍(皮膚がん)は
良性も悪性も含めたすべての皮膚腫瘍の
20~30%ということです!
皮膚がんではない可能性は十分ありますので
まずは落ち着いて、皮膚の腫瘍についての知識を高めましょう。
皮膚の腫瘍の特徴としては、
・手で触るとコリコリとしこりになっている
・ただれている
・こぶのようなものができている
という症状があります。
これは皮膚病とも見誤るところですし
これだけでは良性か悪性かの判断はできません。
場所も足、背中、お腹、顔、頭と
全身に出る可能性がありますし
色やしこりの大きさも様々です。
なにか気になる部分があったら
被毛をかき分けて皮膚の状態を
しっかりチェックしてみてください。
良性の腫瘍の場合は、腫瘍の成長速度が遅く
悪性の腫瘍の場合は、成長速度が早いと言われています。
皮膚がんを含むすべてのがんに言えることですが
犬のがんは老齢になると発生しやすくなり
雑種よりも純血の犬種の方が発生リスクが高いそうです。
犬の皮膚がんは見ただけでは
判別が難しいものですので
皮膚の状態をチェックした際に異常が見られたら
早めに動物病院で受診しましょう。
わたしたちのがん(腫瘍)と同じように
大切なのは早期発見・早期治療ということですo(`・ω・´)o
犬の皮膚がん(腫瘍)にはどんな種類がある?症状と特徴
犬の皮膚にできる腫瘍について
悪性と良性のそれぞれ病名と
特徴、症状をご紹介します。
悪性のがん(腫瘍)
肥満細胞腫(ひまんさいぼうしゅ)
肥満細胞という細胞が腫瘍化したもので
転移しやすいという恐ろしいがんです。
※ただし、良性の場合もあります!
症状は
赤くふくれたようなしこり
皮膚組織の壊死
筋肉の塊のように見える
など、見た目がさまざまなんですね。
肥満細胞は炎症をおこす物質
を持っているため、内臓の他の部分で
炎症をおこすことがあります。
たとえば胃に炎症物質が届いたら
胃潰瘍になるとか・・・
※胃潰瘍になると嘔吐や吐血などの症状も現れますので合わせて注意してください。
体全身にできる腫瘍ですが、
下半身にできた場合は悪性度も高くなる傾向にあります。
ボクサー、ボストン・テリア、
イングリッシュ・セターなどがなりやすい
と言われています。
腺癌(せんがん)
皮脂腺の細胞が腫瘍化したものです。
良性だと腺腫(せんしゅ)。
症状は
しこりの表面が平らでなめらか
大きくて表面が崩れている
と腺癌の可能性があります。
悪性の場合は腫瘍の大きさが
早く大きくなるというのも特徴です。
- 肛門の周り
- 耳の中
- まぶた
- 指の間
などによく発生するので
これらの部分にしこりを感じたら
早めに受診するようにしてください。
扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)
体を覆う上皮細胞の扁平上皮が腫瘍化したものです。
これの症状も様々なんですが
かたい扁平なできもの
カリフラワーのように盛り上がっている
ただれている(潰瘍状態)
などがあります。
愛犬の体でチェックしたいのは
- 鼻の先端
- 爪の根元
- 口唇(こうしん)
の部分で、特に口唇だと出血しやすいです。
口唇にできたがんだった場合
- よだれが多くなる
- 出血する
- 口臭がきつくなる
という特徴があるので、
思い当たることがある場合は
扁平上皮癌を疑う必要があるでしょう。
バセットハウンドとブラッドハウンド、
シーズー、マスチフがかかりやすいと言われています。
肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)
文字通り、肛門の周囲にある
肛門周囲腺にできる腫瘍です。
症状は
丸くてかたいかたまり
として感じられます。
そしてそのうち、かたまりが
破裂することがあるそうです。
もし、ワンちゃんが肛門部分を
しきりになめていたら注意してあげてください。
7歳以上のオスによくみられるがん(腫瘍)です。
その他、皮膚に発生する可能性のあるがん
上記以外で皮膚にしこりなどの
異常が見られる悪性の腫瘍(がん)
をご紹介します。
血管肉腫(けっかんにくしゅ)
血管肉腫は全ての血管で
発症する可能性のある腫瘍で
血管の内側の内皮細胞が
がんになってしまった状態です。
犬の場合は肝臓や脾臓、心臓に
発症することが多いですが
皮膚にも発生することがあり、
赤黒い(青黒い)できものが現れます
線維肉腫(せんいにくしゅ)
皮膚の真皮の部分にある
肌に必要なコラーゲンなどの
真皮成分を生み出す繊維芽細胞から
発生してしまったガンです。
あらゆる部位に発生し、
その腫瘍の発生部位によって
症状が違うのが特徴です。
高齢のオス犬に発生することが多いです
乳腺腫瘍
乳腺にできる腫瘍で、悪性のものが乳がんです。
オスにできることもありますが
メスの場合は5歳を過ぎたら特に気をつける必要があります。
犬の乳房は左右に5つずつありますが
この乳房部分に複数個のしこりができます。
このしこりは押すと動き、
犬は痛そうな反応は見せませんが
悪性の場合はしこりが急速に大きくなる
という特徴があります。
悪性リンパ腫
血液の中の白血球のうちの
「リンパ球」と呼ばれる細胞が
異常に増殖する血液のがんです。
あごや足の付け根などにある
リンパ節が腫れてきますが、
あごの下のリンパ節が腫れていることで
気づく場合が多いようです。
良性の腫瘍
脂肪腫(しぼうしゅ)
これは良性の腫瘍なので、ゆっくり大きくなります。
脂肪を蓄えている脂肪細胞が
腫瘍化したものなので、
理論的には全身のどこにでもできる
可能性があるものです。
症状は、
皮膚の下に、なめらかな楕円形のかたまり
として感じられます。(皮膚だけでなく筋肉の間にできることもあり)
肥満した高齢のメスによく発症します。
腺腫(せんしゅ)
これも良性の腫瘍で、ゆっくり大きくなります。
腺癌と同じような部分にでき
区別がつきにくい腫瘍です。
上皮腫(じょうひしゅ)
これも良性の腫瘍です♪
体をおおっている上皮にできるので
どこにでもできる可能性があるものです。
症状は
茎を持っていてきのこのような形に盛り上がる
というように見えます。
皮膚乳頭腫(ひふにゅうとうしゅ)
イボと言われるものです。
口の中やまぶた、脚などにできることが多く
口の中にできたときは痛みを伴うようです。
犬に多く見られる良性の腫瘍ですが
ごくまれに悪性化することがあるので
イボだと思って安心はできません。
しかも皮膚乳頭種は犬同士の他
犬から人間にもうつります!
病院で皮膚乳頭種と診断された場合は
他の犬と隔離する
飼い主もあまり触れない
などの注意が必要です。
黒色腫(こくしょくしゅ)・メラノーマ
メラノーマと呼ばれる黒色腫は
一般的な皮膚の腫瘍であり、
犬の皮膚に発症する皮膚黒色腫のうち
約85%が良性であるとされています。
黒色腫(メラノーマ)自体は
皮膚、爪周囲、眼、口腔内(口の中)
など多くの場所に発生しますが
口腔内にできた黒色腫の場合は
悪性のことが多く治療が難しいとされています。
皮膚に発生する場合は、
色はほくろのような黒い色で
小さい斑点状のものであったり
急に大きく成長するものであったりと
その形もタイプも様々です。
犬の皮膚がんはどうやって検査をするの?
もしも、あなたの愛犬の皮膚に
できものやしこり、ほくろのようなもの
を発見した場合は病院で獣医さんに相談しましょう。
獣医さんも、見ただけで判断できませんので
検査をする必要がありますが、
最初は状態を把握するために
最近の犬の様子などを聞きながら
肉眼で観察し確認します。
その後、腫瘍の大きさにもよりますが
大きめの場合は皮膚の腫瘍に針をさして
中の細胞を取り出し(細針吸引)
がん細胞があるかどうかを診断します。
また、血球数を見るための血液検査や尿検査、
肺に転移をしていないかどうかを確認する
胸部X線検査や、必要があればCT検査などを
組み合せて検査を行っていきます。
部位別の、がん発見方法を
犬の癌(がん)の症状と発見方法は?
でもご紹介していますので
合わせて参考になさってください。
犬の皮膚がんの診断と治療方法
基本的に出来てしまったがん(腫瘍)は
切除する方向で話があると思いますが
ここではどのような治療方法があるのか
詳しく見ていきたいと思います。
がんの治療は、犬の体にも大きな負担がかかります。
愛犬の状態や年齢、性格、
がんの大きさや進行具合の説明を受け
獣医さんと相談しながら
納得ができる治療方法を選択していきます。
皮膚がんの具体的な治療方法
がんの治療方法は大きく分けると
外科手術
抗がん剤による化学療法
放射線治療
の3種類があり、腫瘍の位置やがんの範囲
ステージ(段階)や犬の年齢や状態によって
どの方法で治療していくかを決めていきます。
外科手術とは
外科手術には、病巣部分とその周辺まで、
大きめに切除して完治を目指す根治手術と
腫瘍の一部だけを切除して犬の生活の質を高める
緩和手術の2種類があります。
腫瘍の大きさが1センチ前後の場合は
根治手術で完治する可能性が高いです。
抗がん剤治療とは
抗がん剤を使った化学療法は
再発を防止したり腫瘍を縮小させるために
行われることがある治療です。
手術で切れない場所の腫瘍を
治療する場合などに使われています。
放射線治療とは
放射線治療については、規模の大きい
動物病院で受けることができます。
放射線をがん細胞に照射して
がん細胞を壊すことによる治療です。
手術をしない分、体への負担は少ないといえます。
早期で発見できたガンには
高い効果が期待できます。
知っておくべき、がん治療のデメリット
【外科手術】
全身麻酔を行うため、年齢によっては
外科手術を受けないほうが良い場合があります。
腫瘍が大きくなると切除する範囲が広くなり
体への負担が大きくなり、また外見も
変わってしまう可能性があります。
転移や再発が起きた場合は
再手術をすることになり
生活の質が低下する可能性が高まります。
【抗がん剤治療】
抗がん剤を使った治療については
重い副作用があることや
場合によっては抗がん剤のせいで
体調が悪くなり他界してしまう
ということもあるので慎重に検討する必要があります。
治療までの期間も長くなるため
長期間通院する必要があります。
長く通院するため、費用も高額になります。
【放射線治療】
放射線治療だけでがん細胞を全滅させる
ということは現段階では無理なので
根治のための治療ではありません。
しかも放射線による治療は正常な組織にも
障害を与えてしまうため後遺症が発生することがあります。
照射のたびに全身麻酔が必要になりますし
治療のための費用もかなり高額になります。
皮膚がんの治療にかかる費用はどれくらい?
動物病院は治療費が決められていないので
動物病院によって金額を設定しています。
ですから病院の場所や院長の考え方で
治療費は変わってしまいますが…
今回は一般的な相場の
がんの治療を受けたときの費用をご紹介します。
【外科手術】
1回 数万~40万円 ※入院費込
入院費や手術費のほかに、
診察料や血液検査やエコー
術後の抗生物質や薬なども含まれます。
【抗がん剤治療】
1回 2~4万円
抗がん剤の薬のほかに栄養剤の点滴や
吐き気止めの点滴や血液検査なども
含まれるところが多いです。
【放射線治療】
1回 1~5万円
平均して週5回×4週間の治療が必要なので
20回分の費用がかかります。
このほかにも検査の段階でCT検査をした場合は
1回 数万円~20万円だったり
小型犬が1週間入院すると6万円前後
大型犬が1週間入院すると10万円前後など
必要な検査や治療によって費用は変わります。
皮膚がんは犬のがんの中で
よく見られる病気ですが
犬の寿命が長くなってきた昨今では
死亡原因の上位を占めるようになり
犬のがんになる確率が格段に上がりました。
治療費がかなり高額になることが分かった今、
早いうちから保険を考えておくといいかもしれません。
がんになってしまった時・・・
少しでも安心して看病してあげられるように
費用的な問題で治療を諦めないで済むように
良いと思える治療を何でも試してあげられるように
ご紹介してきたように、犬の皮膚がんは
皮膚がんの進行状況や年齢などで
治療方法が変わってくる病気です。
当然獣医さんとの話し合いも
色々な観点から見たり、検討したり
愛犬のことを心から考えて治療方法を相談していきます。
早くからペット保険を検討してもらうと
あなたもいざというときに
費用面も心配することなく
安心して愛犬のがん治療に専念できるんじゃないでしょうか?
おすすめできるペット保険としては
全国どこの動物病院でも使える
回数無制限で1回当たりの限度額無し
予測できない病気の治療負担を
広範囲でカバーしてくれる
いざというときに頼りになる保険として
利用者の評判がとても高い「あんしんペット保険」と
10歳以上の保険料が上がらない
※がんにかかるリスクが非常に高まる年齢です
全国の動物病院で使えて
シニア犬になったときの負担が
とても安く抑えられるので
安心して長く頼れると人気の高い
「げんきナンバーわん」。
両方ともおすすめできるペット保険ですが
- あなたの愛犬だと実際にいくらになるのか?
- また保険内容は納得できるのか?
などしっかりご判断いただいた方が良いので
一度両方の資料を請求されて
じっくりと検討されると良いと思います。
がんになってしまう原因と言われているものはいくつかあります。
がんは遺伝子が傷ついたり
変化することでがん細胞が発生し
すごいスピードで増殖していきます。
この遺伝子が傷つく原因は
遺伝的な原因から環境的な原因まで
様々な原因が重なって、
長い時間かけて発症すると考えられます。
犬の皮膚がんの場合は日光に当たることも
その原因の一つになるとも言われています。
愛犬を皮膚がんにさせないために!予防方法
皮膚がんを含む愛犬のがんの原因は
複数の原因が重なって発症します。
- 遺伝
- ホルモン
- 化学物質
- ウイルス
- 紫外線
- 老化
- 生活習慣
- ストレス
これらががんの原因となる主な要因ですが
紫外線、老化、生活習慣、ストレスの4つは
私達が気をつけてあげられることです。
犬を皮膚がんにさせないための予防法として
この4つを改善していきましょう。
紫外線と老化はチェックが重要!
お散歩などの運動は犬にとって必要ですので
紫外線対策としてグッズを上手に利用していきます。
こちらは犬用の紫外線対策グッズのUVスプレーです。
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紫外線ダメージから皮膚や被毛を守り
保湿成分でダメージケアをしつつ
痛んだ被毛の修復ができるものです。
このようなグッズは楽天などでも探せるので
いろいろと見てみるといいでしょう(^^)
老化については毎日のチェックと
定期的な健康診断で全身状態を把握することが必要です。
がんは命にかかわる病気だけに
5歳を過ぎたら最低でも1年に一回は
レントゲンや超音波などの定期検査を行ってください。
生活習慣とストレスは免疫力が重要!
生活習慣というのは具体的に
運動不足や睡眠不足、
栄養の偏った食事や添加物だらけの食餌のことです。
また長期間ストレスにさらされたり
強いストレスを感じると
免疫力が低下するため
がん細胞への抵抗力が下がってしまいます。
- 運動不足や栄養の偏り
- 添加物だらけの食餌(ドッグフード)
- ストレス
これらのことは、犬の免疫力を
著しく低下させる原因になります!!
しっかり運動をさせてあげて
ストレスが無いような生活環境で
できるだけ体に良いドッグフードを食べさせる
犬を皮膚がんにさせないための
私たちにできる大切な予防方法です!
最後に
皮膚のがん(腫瘍)は見た目では
悪性か良性かの区別はできず、
とりあえず切除をします。
しこりになっていたらドキッとしますが
腫瘍を疑うことができますよね?
でも、もしただれていたり
他の症状ででていた場合
皮膚病との見分けもつけにくいです。
ですから、皮膚病としての
治療をすることもあるんですね。
もし、皮膚病の治療をしていても
治りが悪かったり、効果が無いと感じたら
皮膚がんの可能性も考えたほうがいいでしょう。
がん(腫瘍)は早期発見・早期治療!
疑わしいものがあったら
なるべく早く動物病院を
受診するようにしてくださいね!