犬も足がつるの?こむら返りは?
急に「キャン!」と鳴いたかと思うと足をぴーんとさせて足を引きずる。
でも、少しすると戻ったようで普段とかわりなく過ごしている・・・
これって犬も足がつるの?病気?という疑問をお持ちの飼い主さんも多くいらっしゃいます。
わたしたち人間の足がつる時ってどうなっているかご存知ですか?
足がつる仕組みは、筋肉疲労が主な原因となり、筋肉が萎縮し、強烈な痛みを伴って痙攣している状態です。
別名「こむら返り」ともいいますが、あれはかなり痛いですよね(T_T)
ピーン!!とした痛みが走りますので、若干パニックになってしまうこともあります。
犬の足も人間の足がつるのと同じような現象が起こっているときがあると思います。
冒頭でお話したように、あなたの愛犬が痛そうに「キャン」と鳴き、足がぴーんとした状態になって、足を浮かせるようにしていたり、変な歩き方になっていたことはありませんか?
しかししばらくするとなんでもなかったかのように歩いていたりします。
まさに、わたしたちの足がつっていると同じように見えるので、犬も足がつること(こむら返りを起こすこと)があると思ってしまうかもしれませんが…
実はこれ、犬の足がつっている訳じゃありません(乂・д・´)
「犬は足がつることはない」といわれているんですね。
ですから、犬の足はこむら返りの症状は起きないと考えられています。
それではなぜ犬の足がピーンとして「つる」ような症状がみられるのでしょうか?
犬の足がつるようになる原因としては、いくつかの病気が考えられます。
それでは次に、犬の足がつるような症状がある病気についてみていきたいと思います。
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犬の足がつるように見える病気
犬の足がつるように見える時に考えられる病気は主に3つがあげられます。
- 膝蓋骨脱臼
- 股関節脱臼
- 椎間板ヘルニア
この中でも膝蓋骨脱臼は可能性も高いですし、日本で多く飼われている小型犬に多い疾患ですので、後程詳しくご紹介します。
股関節脱臼というのは、動物医療センターのサイトで詳しく解説されていますので医療的な見解をご覧になりたい方はそちらを参照してください。
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犬の股関節脱臼を簡単に言うと、何らかの衝撃を受けたことによって股関節が脱臼している(大腿骨が股関節からズレてしまっている)状態です。
次の椎間板ヘルニアは、犬の脊髄が圧迫されることによって痛みが出たり、足が麻痺してしまう病気です。
椎間板ヘルニアで足がつるように見える症状が出るのは、椎間板ヘルニアの回復期や、麻痺が部分的に出ている時です。
犬の足が脱臼している状態であったり、麻痺がおこるような病気になっている場合に「足がつる」ように見えてしまうんですね。
ただ、椎間板ヘルニアに関しては犬に大きな痛みがあるので何らかの異常が起きていることが分かりやすいといえますが、脱臼に関しては一時的な場合もあり、本当に足がつっているだけのように見えてしまいます。
多くの小型犬に危険のある膝蓋骨脱臼について詳しく解説していきますので、脱臼という状態の理解を深めたいと思います。
犬の歩き方がおかしくなる原因で多い膝蓋骨脱臼とは?
犬が足を浮かせる歩き方をしていた場合、「軽く脱臼している状態」であることがまず考えられます。
脱臼とは、関節を構成している骨同士が、何らかの拍子に位置がずれてしまって、正常に動かせなくなっている状態です。
そしてこの場合考えられるのが、大腿骨(太ももの部分)と脛骨(すねの部分)をつないでいる関節のところに、膝蓋骨(いわゆるひざの皿)があるんですが、これがズレてしまったためと考えられます。
これを膝蓋骨脱臼といいます。※「パテラ」ともいわれます。
脱臼には2種類ありますが、完全にズレている場合を「完全脱臼」といい、部分的にズレているだけの場合を「亜脱臼」といいます。
そして膝蓋骨が内側に外れた場合は「内包脱臼」といい、外側に外れた場合は「外包脱臼」といいます。
性別による発症ですがメスのほうがオスよりも発症しやすいという情報もあります。
ただ、2015年の大学獣医学研究科の研究によると、小型犬における発症率はメスのほうが多かったものの、大型犬種ではオスに多いという報告もあったらしく、性別との関係はまだ検討が必要な段階のようです。
膝蓋骨脱臼を発症する原因として多いのは外傷もありますが、生まれつきという遺伝的要因(先天性)の場合もあります。
成長とともに脱臼した時の痛みも強くなっていきますし、患部をかばうあまり、他の部分に障害が出てしまうおそれもあります。
この膝蓋骨が脱臼する状態も、ただちょっとズレてしまうくらいだったら自分で治せることも多いです。
朝起きた時に背伸びをするように足を伸ばすしぐさをしていたら、それは膝の位置を戻している動作だそうです。
自分で治すことを覚えて、ズレた位置が治せるようなら急いで病院に連れていくというような緊急性はありません。
軽い亜脱臼だったら、痛みがなくて自然に治ってしまうこともありますが、頻繁になるようだったらやはり動物病院で診てもらったほうがいいです。
というのも、ごく軽い亜脱臼なら経過観察で済む場合もありますが、その段階(グレード)によって、症状が重い場合は手術になります。
グレードⅠ 普段は無症状で時々症状が出る
グレードⅡ 足を浮かせていても曲げ伸ばしをしていると整復する
グレードⅢ 常に脱臼している状態だけど整復が可能
グレードⅣ 常に脱臼していて整復もできない
上記のグレードを見てお分かりいただけるように、グレードⅡまでは脱臼の症状が軽く、自分で整復できるため足がつるような状態に見えます。
膝蓋骨は、滑車溝(かっしゃこう)と呼ばれる溝にはまっています。
ここを滑ることによって膝の関節がうまく動くようになっていますが、滑車溝から膝蓋骨が外れやすくなっていきます。
ですから、グレードが進み手術という治療になった場合、滑車溝を深くしたり、関節を包んでいる関節包をゆるめるなどの手術を行うようになります。※状態によって手法などは様々になります。
何度か外れている場合は遺伝的な要因が考えられますから、軽い脱臼だったとしてもなるべく若くて元気なうちに手術をうけておいたほうがいいでしょう。
手術までいかずに内科的な治療を行う場合は、内服薬やサプリメントで改善を促したり、レーザー治療をする場合や、運動や体重などの指導を受けるといった方法があります。
ちなみに治療費ですが、グレードや状態により、手術をしないで済む場合は数千円から数万円ですが、手術をするとなると数十万円かかることを覚悟しておく必要があるようです。
さて、犬の足がピーンとしてつっているような症状で考えられる病気として膝蓋骨脱臼について詳しくご紹介しましたが、これは足が地面につかず、犬が足を浮かせるように歩いているということです。
犬が足を浮かせるようにしておかしい歩き方をしているというところにスポットを当てた場合、ご紹介したような脱臼やヘルニア以外にも考えられる病気が結構たくさんあるんですね。
次は、犬の足がつる状態から少し離れて、犬が足を浮かせるなど歩き方がおかしくなる病気についてご紹介していきます。
犬が足を浮かせるなど歩き方がおかしくなる病気
犬の足がつっているような状態に見える病気として脱臼についての解説をしてきましたが、足を浮かせるなどの「おかしい歩き方」という点で見るとほかにも考えられる病気がたくさんあります。
犬が足を浮かせる歩き方をしている場合には、軽度のものから重症度が高い病気まであるんですね。
まず考えられる病気の一覧を書き出してみます。
- 趾間皮膚炎(しかんひふえん)
- 骨折
- 怪我
- 骨関節炎
- 肩関節不安定症
- 免疫介在性関節炎
- 変形性脊椎症(へんけいせいせきずいしょう)
- 変形性関節症
- 免疫介在性関節炎
- 骨肉腫
- 滑膜肉腫
- 脊髄腫瘍
- 椎間板ヘルニア
- 変形性脊椎症
- 変性性腰仙部狭窄症(馬尾症候群)
- 重症節無力症
- 股関節形成不全
- 膝蓋骨脱臼
- 大動脈血栓塞栓症
- 脊髄梗塞
- 水頭症
- 壊死性髄膜脳炎(えしせいずいまくのうえん)
- 特発性前庭障害(とくはつせいぜんていしょうがい)
- 靱帯断裂(前十字靭帯断裂)
- 成長板早期閉鎖
- レッグ・ペルテス病
とりあえず犬が足を浮かせる歩き方をする原因となる病気の病名を書き出してみましたが、もう少しわかりやすいように「外傷」「関節炎」「腫瘍」「神経系の病気」「遺伝性疾患」「血管の閉塞」「脳の病気」「その他」に分けてみていきたいと思います。
犬が足を浮かせる病気1:外傷
愛犬の歩き方がおかしいと感じた時に、最初にチェックしてもらいたいのが外傷です。
趾間皮膚炎というのは指の間や肉球の皮膚が炎症を起こしている病気で、原因はウイルスや細菌などの感染やけがややけどから炎症が起きるものや、ダニなどの寄生虫によるものなどなど多くの原因があります。
そのほかストレスや心の病気などからも起きやすい炎症にもなっています。
炎症まで起きていなくても、真夏のアスファルトの上を歩いたことによる火傷や、凍った雪で肉球が切れてしまうなどの外傷もありがちな怪我です。
骨折は高いところからの落下や交通事故などで起こりますが、小型犬の場合はソファから飛び降りただけで骨折をすることもあり、身近な怪我になっています。
愛犬の足をチェックするときに触られるのをとても痛がる場合などは骨折が考えられるので、無理やり触ろうとするのは避けてください。
犬が足を浮かせる病気2:関節炎
浮かせる足が前足の場合に疑えるのが肩関節不安定症で、トイプードルに発症が多いといわれています。
関節炎はひざや股関節に起こるイメージがありますが、背骨で関節炎が起こっている状態が変形性脊椎症です。
関節炎は加齢とともに発症する可能性が高くなり、骨関節炎・変形性関節症など軟骨が減ることで炎症を起こしたり変形する病気があります。
加齢もそうですが肥満なども原因となるのが靱帯断裂(前十字靭帯断裂)です。※事故や激しい運動による衝撃もあります。
ロットワイラーやチャウチャウなど大型犬に多いといわれていますが、肥満で小型犬でもよく起きるそうです。
関節炎はシニア犬でみられることが多いですが、若い犬でももちろん関節炎にはなります。
レッグ・ペルテス病というのは生後1年未満の幼犬に見られ、突然足を浮かせて歩くようになったり、足を引きずる(跛行・はこう)がみられます。
犬にはよく見られる関節炎ですが、関節炎の場合腫れや痛みがあるため歩くこと自体を嫌がる傾向が強くなります。
ただし、痛みの場合足を浮かせるとか引きずるというわかりやすい症状で出るとは限りませんので、歩きたがらないとか震える、息が荒いなど他のサインも見逃さないように気を付けてください。
犬が足を浮かせる病気3:腫瘍
腫瘍は良性と悪性がありますが、悪性の腫瘍がいわゆる癌です。
骨に腫瘍ができるのが骨肉腫で、 関節に腫瘍ができるのが滑膜肉腫、脊髄に腫瘍ができると脊髄腫瘍になります。
腫瘍は犬にも最もよく見られる病気の一つであり、人間にできるほぼ全種が犬にもできるといわれています。
飼い主さんが見極めるのは難しい病気ですので、定期的な健康チェックや健康診断などを行っておくことが予防や早期発見につながります。
犬が足を浮かせる病気4:神経の病気
脊髄と脊髄から枝分かれした末梢神経は脳の指令を全身に伝える役割も果たしています。
背骨の脊髄が圧迫され、クッションの役割の椎間板に異常をきたしているのが椎間板ヘルニアです。
ダックスフンドのような胴長の犬種はただでさえ背骨への負担が大きいため、若いうちからヘルニアを起こしやすいというのは有名です。
変形した脊椎が脊髄を圧迫して起こるのが変形性脊椎症です。
また神経からの信号を筋肉に伝えられなくなる病気が重症節無力症です。
犬が足を浮かせる病気5:遺伝性疾患
先ほどご紹介した膝蓋骨脱臼もそうですが、ほかにも股関節形成不全は遺伝性の疾患である可能性があります。
股関節形成不全は遺伝的に股関節を形成する骨が十分に発達しない病気で、ジャーマン・シェパード・ドック、ラブラドールやゴールデン・レトリーバーなどの大型犬によく見られます。
犬が足を浮かせる病気5:血管の閉塞
血栓と呼ばれる血液の塊が血管に詰まって起きる「血栓症」によって足を浮かせて歩くなどの歩行障害が出るケースです。
脊髄や大動脈などの血管が詰まることで、後ろ足に必要な血液が運ばれなくなることで、酸素や栄養が不足してしまいます。
大動脈血栓塞栓症や脊髄梗塞などがあげられます。
犬が足を浮かせる病気6:脳の病気
脳が増えてしまった脊髄液に圧迫されることで起こる水頭症は、圧迫される場所によって症状が変わりますが、感覚が鈍ったり麻痺がおこることによって歩行障害が現れます。
また、パグやフレンチブルドッグ、チワワなどに発症がみられる壊死性髄膜脳炎は脳に壊死がおこるので、やはり発症する場所によってうまく歩けない状態がおこります。
加齢によっておこる認知機能の低下、こちらも加齢が原因の一つで起こる突発性前庭障害(前庭疾患)によって、足を浮かせるなどの歩き方の異常がみられることもあります。
犬が足を浮かせる病気7:その他
今まで犬が足を浮かせるなどの歩き方がおかしくなる病気をご紹介してきましたが、足を浮かせる歩き方以外にも歩き方がおかしくなることがあります。
例えば、熱中症の場合はよろよろするなど歩き方がおかしくなることがありますし、視力の低下もふらつくなどの歩行異常がみられます。
耳の病気の内耳炎(ないじえん)になっていると、体のバランスが取りにくくなるのでふらふらした歩き方になります。
他にも足のしびれが考えられる場合もあります。
犬も人間と同じように足がしびれることがあるのかに関しては、医学的に解明されていないそうですが、ずっと同じ姿勢をしていた後に動いたとき、足をかばったり引きずるような行動が見受けられることがあります。
仮病の可能性も
犬は仮病をすることがあります。
以前、本当に足を痛めて浮かせて歩いていたり、跛行していた時に飼い主さんからとても心配してもらった経験を覚えていて、もっとかまってほしい!もっと注目してほしい!という気持ちからおかしな歩き方をすることがあります。
実際に足が痛いわけではないので、この場合は足に触っても痛がりません。
たまに浮かせる足が変わったり、引きずる足が変わることがあるので、仮病と気づくケースもあります。
犬が足を浮かせるなど歩き方がおかしい原因は?
愛犬の歩き方がおかしいと気づいたらそれは何か異変があるサインかもしれません。
今まで疑える病気についてご紹介してきましたが、今度は実際に歩き方から疑える病気をご紹介します。
足を浮かせる歩き方については先ほどご紹介しましたので、ここでは足を浮かせる以外の歩き方についてみていきます。
歩き方がぎこちない
歩き方がギクシャクしていたり、どことなく不自然な歩き方をしているなど、ぎこちない感じで歩いていたら、足をかばいながら歩いている可能性があります。
この場合は、股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)や変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)などが考えられます。
ふらふらしながら歩いている
弱々しくフラフラしながら歩いていたら、感染症や脳の異常が考えられます。
また、内耳炎などの耳の病気、目の病気で視力が低下している可能性もあります。
気温的に暑い場合は、まず熱中症の心配をしたほうが良いかもしれません。
もしくは、他の病気にかかっていて、それが原因で体が衰弱している可能性もあります。
足を引きずって歩く
足を浮かせて歩く場合と同様に、脱臼や骨折の疑いがありますが、骨の腫瘍など「骨や関節の異常」も考えられます。。
外傷をチェックするときに、腫れや内出血などの他の症状がないかどうかも一緒にチェックしましょう。
骨や関節の病気じゃなかった場合、椎間板ヘルニアなどの神経の病気の可能性もあります。
そもそも足の形がおかしい
愛犬の後ろから立ち姿を見てください。
足の形が、外側や内側に不自然に曲がっているようだったら、骨や関節の病気の他にクル病や骨軟化症(こつなんかしょう)のような栄養障害が考えられます。
クル病と骨軟化症は、発育の途中で骨ができなかったり、骨が軟化してしまう病気です。
生後数ヶ月の幼犬に起こり、関節や四肢の変形、足を引きずったり動きたがらなくなるなどの症状があります。
犬が足を浮かせるなど「つる」ように見える時の注意点
愛犬の名前を呼んだ時に、愛犬が近寄ってくる時の歩き方がなんかいつもと違う気がする・・・
それに気がつけるあなたは素晴らしいです!
明らかに変な歩き方じゃなくても、「なんか違う」と気づけるかどうかで愛犬の健康維持が変わってきます。
もし、歩き方がおかしいことに気づいてあげられたら、まずチェックして欲しいところをご紹介します。
- 立ち止まっている時に浮かせている足がある
- 足や体が震えている時がある
- 呼吸が荒い気がする
- 階段や段差を嫌がることがある
- 立ち上がるのに時間がかかる
- お散歩を嫌がるようになる(または立ち止まることが多い)
このチェックポイントに当てはまった場合は、異常の初期段階であることが疑えます。
膝蓋骨脱臼でご紹介したように、まだグレードがⅡ以下で、自分でお皿をはめられるようなら、飼い主さんが手出しをしないで見守ったほうが良いです。
しかし、グレードが進んでしまう可能性もあるので、大至急ではありませんができるだけ動物病院で診てもらってください。
歩き方だけじゃなくても、階段を登り降りする姿や立ち上がる時の動き、
まったく動こうとしなくなるなど、いつもと違うと感じたら早めに動物病院に連れて行ったほうがいいでしょう。
犬は具合が悪くても痛くても、なるべくわかられないように我慢する動物です。
愛犬の異常に気づけるかどうかが大切なポイントになりますので、おかしいと感じたら、念のため病院に連れて行ってあげるようにしてください。
この時の動物病院へ行く際の注意点ですが、症状が出ている時にスマホなどで動画を撮影しておくことがベストです。
慌てて病院へ連れて行ったら、待っている間に治ってしまったというケースは多いですし、犬は緊張すると痛みを忘れてしまうこともあります。
実際の症状を獣医師に見てもらうことは、正しい診断に早くつながるという大きなメリットがありますので、「まず動画を撮る」ようにしてください。
「動物病院に連れていく」ことが良いとはわかっていても、保険がきかない動物病院の診療は高額になることが多いです。
この高額になるために「もうちょっと様子を見ても…」という心理につながることはとてもよくわかります。
ただ、様子を見ているうちに悪化して、治療をするとなるともっと高額になる可能性もめちゃくちゃあるんですね。
若くて元気なうちから、わたしたち人間の「健康保険」だと思ってペット保険の加入を検討しておくというのも一つの方法だと思います。
愛犬の歩き方がおかしくならないための予防
実際に愛犬の歩き方がおかしい時は動物病院で診てもらうことになりますが、骨や関節にやさしい環境を整えることは飼い主さんのお仕事です。
予防のポイント
- 床材に配慮する
- 家具の配置場所や配置方法を見直す
- 遊び方に気を付ける
- サプリメントを与える
- 体重管理をする
- 動画や画像で記録を取っておく
床材に配慮する
滑りやすいフローリングを歩いていると、骨や関節に大きな負担をかけます。
特に小型犬は骨も細いですし関節も丈夫というわけではありませんので、脱臼(亜脱臼を含む)や関節炎の大きな原因となっています。
フローリングの上にカーペットを敷いたり、コルクマットを敷きつめる、滑り止めの加工をするなど、滑らないような床材で対策を行っておきましょう。
階段の使用がある場合、階段のフローリング部分が見落とされがちです。
階段の一段一段にも階段用カーペットを敷くことが望ましいです。
家具の配置場所や配置方法を見直す
骨折で多い原因の一つに「ソファーやベッドから飛び降りた時」があります。
特に、チワワやパピヨンのような超小型犬と呼ばれる犬種は、ちょっとした段差で骨折してしまうケースもあります。
このような骨折を防ぐ方法としては、犬用のステップを設置したり、そもそもソファーなどの家具の高さを低くするといった対策が効果的です。
遊び方に気を付ける
つい愛犬の姿がかわいいからということで、骨や関節に負担がかかる遊び方をしてしまうことがあります。
後ろ足だけで立って歩いていたり、さらにジャンプしていたりすると、その姿を見るために何度もさせてしまうことがあるでしょう。
部屋の中で、プチアジリティをしようとしてジャンプの高さを高めに設定してしまうということもあるかもしれません。
遊びを考える時も、「もしかしたらこの遊びは愛犬の骨や関節によくないかもしれない」という思考は常に持ち合わせておくことがおすすめです。
特に飼い主さんはもうご存じだと思いますが、ダックスフンドのような胴長の犬種に対してジャンプはよろしくありません。
背骨に大きな負担を与えるので、椎間板ヘルニアへのリスクを高めてしまいます。
サプリメントを与える
犬の総合フードは、基本的に犬に必要な栄養を網羅するように作られています。
しかし、骨や関節に不安がある場合などは、その栄養を強化するためにサプリメントを摂取させることは有効です。
実際、動物病院でも相談をすると獣医師おすすめのサプリメントを出してくれる場合もありますし、ネット上でも簡単に購入することができます。
粒状のもの、粉状のもの、ふりかけ状のものなど、「犬 骨 サプリ」「犬 関節 サプリ」などで検索していただくといろいろなタイプがありますので、愛犬に合うものを見つけていただければと思います。
体重管理をする
人間もそうですが、犬にとっても「肥満」はあらゆる病気の原因になります。
細い足で体を支えている犬にとって、肥満は骨にも関節にもかなり大きな負担がかかります。
立ち姿を見てもらえばお分かりいただけるように、胴長の犬種じゃなくても、背骨にも大きな負担がかかります。
食いしん坊の子など、食べたがっているのに我慢をさせているようで飼い主さん的に心が痛いと感じてしまうかもしれませんが、体重管理は必須です。
動画や画像で記録を取っておく
この動画や画像で記録を取っておくのは、愛犬のかわいい姿を保存しておく以外にも、愛犬の健康管理としても有効な方法です。
元気な状態の歩き方、走り方をはじめ、立ち止まっている時の全身を撮影しておいたり、上から見た姿を撮影しておいてください。
定期的に撮影していると、歩き方の違和感などを感じやすくなります。
また、肥満になっていないか客観的な見方をすることができるので、愛犬の健康を管理する面で冷静な判断ができます。
愛犬が足を痛がっているときの対処方法
今までは愛犬の足の骨や関節などを守る観点で予防方法をご紹介してきましたが、実際に足を痛がっている時はどうしてあげることが良いのでしょう。
犬が足を浮かせて歩いている時や「つる」ように見える時は、痛みを伴っている可能性が高いです。
痛みがありそうな場合、休みやすいようにベッドを用意してあげたり、歩かなくてもよい距離に水を用意しておくということがあげられます。
痛みで食欲が落ちてしまうこともあるので、食べやすいフードを用意してあげることもよいかもしれません。
ただ、フードに関しては、特別に豪華にしたり、とっておきの食事を用意するなどすると、犬は覚えていますので元気になったときに元のフードを食べなくなる危険があります。
また、おいしいフード食べたさに(悪意はないですが)仮病を使うことにもつながるので注意してください。
一番飼い主として気を使ってあげたいのが「静かな環境」です。
犬は嗅覚だけではなく、聴力も優れていますので音にも敏感です。
騒がしい環境や、うるさい音の中ですとストレスもたまってしまいますので、余計なストレスをかけないためにも静かに過ごせる環境を整えてあげてください。
最後に
犬の足はつるのか?こむら返りはするのか?犬が足を浮かせる歩き方をするのはなぜか?などについてご紹介してきました。
現時点では、犬の足はつることはないというのが一般的な見解であり、こむら返りもすることはないという見方になっています。
ただし、犬の足がつるように見えている時は脱臼や骨折などの異常が考えられるということをご紹介してきました。
犬が足を浮かせる歩き方をしている時はいろいろな病気の可能性があることもお判りいただけたと思います。
外傷や骨や関節の異常に関する病気が真っ先に考えられますが、その他にも神経・血管・脳・腫瘍・耳・目などいろいろな病気も疑えます。
どんな病気でもできるだけ早く、早期に治療を始めることが愛犬の健康を守ることであり、命を守ることになります。
小さくても違和感を感じたら動物病院に連れていくこと、定期的に健康診断を受けることがとても大切です。