犬が股の匂いを嗅ぐ理由
友達の家を尋ねた時、飼い犬が臭いを嗅いできたり、飼いはじめの子犬がクンクンと股の匂いを嗅いでくることがあると思います。
手や体ならまだしも、股間をしつこく嗅がれると困りますよね。
どうして犬は人の股の匂いを嗅ぐの?股の匂いを嗅がれても、そのまま我慢するべき?など色々と考えてしまうと思います。
今回は犬が股の匂いを嗅ぐ理由、股の匂いを嗅ぐ時の犬の心理、注意することや嗅ぐのをやめさせる方法などをご紹介していきます。
犬が股の匂いを嗅ぐ理由というのを知る上で大切なのは、「犬が股の匂いを嗅ぐ時の心理」になります。
- 挨拶をしている
- 相手の情報収集
- 相手に対する判断材料
- 飼い主の体調異変を感じている
- 飼い主のその日の行動を確認
- 甘えたいという気持ち
- 安心したいという気持ち
- その人の匂いを覚えたい
- 好奇心・遊び・ストレス発散
- おならに反応した
これだけの心理が働いていることが考えられます。
もちろん、理由がこの中の一つだけの場合もありますが、2つ以上複数の理由がある場合も考えられます。
この犬が股の匂いを嗅ぐ時の心理についてはこの後詳しくご紹介しますが、そもそもなぜ一生懸命嗅ぐ場所が、足などではなく股なのでしょうか?
私たち人間は認識をするときに80%を「視覚」に頼っているそうです。
ただ犬はあまり目が良いわけではなく、色なども人間と同じように見えているわけではありません。
その分、犬の嗅覚は大変優れています。
犬は昔から「鼻で考える動物」と言われ、犬の臭覚力は人間の3,000倍から10,000倍と言い、特定のにおい(脂肪酸等の臭い)では、人間の100万倍以上とも言われています。~兵庫県警察の警察犬の紹介より引用
このように犬は嗅覚をフル回転させて、すべての情報収集に「嗅ぐ」という行為を使います。
人の識別、友達の識別に関しても、「匂い」で判断している部分が多いそうです。
実は体内の匂いが出る体の部位というのは、口・目・耳・鼻・尻になっており、リアルタイムな匂いを一番発しているのはお尻よりも口なのだそうです。
しかし、口の匂いを嗅ぐためには相手の顔に近づく必要があり、犬社会においていきなり相手の顔に顔を近づけるということは脅威を与えるので攻撃される可能性がある行為です。
ですから犬は基本的にいきなり相手の顔の匂いを嗅ぐことはありません。(よく知っている相手は別です)
そして、これが一番犬が股の匂いを嗅ぐ理由と言えますが、犬はもちろん人間も股からフェロモンが出ています。
正確に言えば、「フェロモンが出ている」という表現は正しくないかもしれません。
フェロモンの役割があると言われている汗を分泌する「アポクリン腺」は、性腺ともいわれるように、アポクリン腺から分泌された汗に性刺激をする作用があると言われています。
ちなみに人間と犬の性フェロモンは構造が似ているそうです。
この「アポクリン汗腺」ですが、汗腺といっても全身に分布しているわけではありません。
人間の場合は、わきの下・外耳道・外陰部・生殖器周辺(=股間)に存在しています。
アポクリン腺から分泌されたフェロモンの役割の汗以外にも、皮脂腺から分泌される「デトックスの汗」にも個人の匂いが出ています。
皮脂腺はいつも開いている汗腺ではなく、温泉&サウナ後や長時間の運動をすると開く汗腺なので、皮脂腺から分泌される「皮脂の汗」にはその人特有の匂いがたっぷり含まれています。
ですから、犬はフェロモンの役割の汗と皮脂の汗の匂いの両方を嗅いでいるということになります。
股から出ているその人の個人的な情報を匂いから得るために、犬は股の匂いを嗅ぐということになります。
それから、これはその他の理由ということになると思いますが、犬の顔の位置も関係しているとも考えられています。
体が大きい犬であれば、人間が立った時にちょうど犬の顔の位置が股のあたりになるので嗅ぎやすいということもあるでしょう。
小型犬の場合は、人間が座った時に股の位置が「嗅ぎやすい位置」になるということもあります。
犬は鼻が良いのに股に鼻をくっつけて嗅ぐのはなぜ?
「犬は鼻が良いなら、あんなに股に鼻をくっつけて嗅ぐことはないんじゃない?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
これについては必然の理由があります。
犬は揮発性の匂いでしたら離れていても嗅ぎ分けることができますが、フェロモンの汗と皮脂の汗は揮発しません。※「揮発」とは通常の温度で匂いが蒸発することです。
揮発しない匂いの場合、離れた場所だとしっかりと匂いを嗅ぐことができないため、匂いを嗅ぐために犬は鼻を股の部分にくっつけて、しっかりと匂いを嗅ごうとしているわけなんですね。
人間側からしたら、股に鼻をくっつけて匂いを嗅がれるということは恥ずかしいと思ってしまいますが、犬としたら恥ずかしいという感覚はありません。
犬の本能からくる行動であるということは理解してあげたいところです。
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犬が股の匂いを嗅ぐ時の心理
さて、犬がなぜ股の匂いを嗅ぐのか?なぜ嗅ぐ場所が股なのか?ということが分かったところで、今度は犬の心理的な面から股の匂いを嗅ぐ理由をご紹介していきたいと思います。
先ほど犬が股の匂いを嗅ぐ時の心理として箇条書きで10個ご紹介しましたが、それを一つ一つご紹介していきます。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理1:挨拶をしている
犬が股の匂いを嗅ぐ理由として最も多いのがあいさつをしているということです。
特に、執拗に嗅ぐのではなく、軽く匂いを嗅ぎに来るくらいでしたら、「こんにちは~」という意味であることがほとんどです。
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上の記事で詳しくご紹介していますが、犬は挨拶をするときにお尻の匂いを嗅ぐという習性があります。
犬としてはコミュニケーションの一つとして股の匂いを嗅いでいるのです。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理2:相手の情報収集
犬は人や犬以外にも、様々なものの匂いを嗅ぎます。
お散歩中などは地面、電信柱、木、壁など様々な場所をクンクンして匂いを嗅ぐと思います。
これはここを通ったほかの犬や動物の情報を収集しています。
人間からしたら匂いだけで何が分かるの?と思ってしまいますが、犬は匂いから
- 年齢
- 性別
- 体調
- 発情
- 感情 など
これらの情報を収集できると言われています。
人間の股の匂いを嗅ぐ時も、これらの匂いを嗅ぎ分け情報収集していることが考えられます。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理3:相手に対する判断材料
相手の匂いを嗅いでそれを覚えることで相手を知るための手段の一つになります。
人間では視覚から相手の顔を認識していますが、犬は匂いから相手を認識しているということです。
股から個人的な匂いを嗅ぐことで、過去にあったことがある相手か?相手は怖がっていないか?自分との相性は良いか?安心できる相手か?などの材料を収集して判断します。
ですから全く興味のない相手には、股を嗅ぐという行為をしないことが多いです。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理4:飼い主の体調異変を感じている
犬にとって大好きな飼い主さんの匂いは特に大切です。
後半の「犬が股の匂いを嗅ぎ終わった後に注意すること」の部分で詳しくご紹介しますが、飼い主さんの匂いが変化すると、それに敏感に反応します。
人間は病気によって体臭が変化します。
有名なところで言えば糖尿病になると初期のころは尿や体から甘い匂いがしますし、進行すると酸っぱい匂いになるそうです。
便秘がひどい時にも匂いは変わるそうですし、もっと内臓の胃や腎臓、肝臓などが障害を起こしていても匂いが変わるそうです。
飼い主さんからいつもと違う匂いがすると、その匂いに興味をもって執拗に匂いを嗅ぐという場合があります。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理5:飼い主のその日の行動を確認
お留守番をしていた犬は、飼い主さんが帰ってきた時に飼い主さんの股の匂いを嗅ぐことは結構あると思います。
これは、自分が知らない飼い主さんの行動を少しでも確認したいと思う行動です。
飼い主さんの現在の感情や、誰と会っていたのか?(自分が知っている人か知らない人かなど)どこへ行っていたのか?何を食べてきたのか?などの情報を得ようとしています。
知らない匂いだったり、興味深い匂いだった場合はいつもより念入りに匂いを嗅ぐこともあるようです。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理6:甘えたいという気持ち
犬は飼い主さんに甘えたいという気持ちが強くなった時に飼い主さんの股の匂いを嗅ぐことがあります。
犬にとって大好きな飼い主さんの匂いは特別なものです。
大好きな飼い主さんの匂いを強く感じられる股の匂いを嗅いだり、飼い主さんの後をくっついて歩いていたり、手をぺろぺろ舐めていたりしたらそれは甘えたいという気持ちの表れです。
かわいい愛犬に甘えられるのは飼い主としてはとてもうれしいと思いますが、甘やかしてしまって甘えん坊犬になってしまうのも問題があります。
「もしかしてうちの愛犬は甘えん坊?」という心配がある場合は、下の記事でチェックしてみてもらえればと思います。
愛犬は甘えん坊?しつけのために知りたい飼い主への依存心チェック項目!
犬が股の匂いを嗅ぐ心理7:安心したいという気持ち
甘えたいという気持ちに似ていますが、あまりお留守番が得意ではない犬の場合などは、甘えたいという気持ちよりも安心したいという気持ちが強いかもしれません。
愛犬と正しい主従関係(信頼関係)が築けている場合、犬はボスと認識している飼い主さんの匂いを嗅ぐと、守られているという意識が働くのでとても安心できます。
また、相手の股の匂いを嗅ぐというのは服従真の意味も込められているそうです。
犬が服従心を表すしぐさというのは股の匂いを嗅ぐ以外にもいくつか種類がありますので、下の記事に目を通しておいてもらうと、犬は「気持ちを正しく理解してくれるボス」として信頼度が爆上がりします。
サインに気づいて!犬が服従心を表すポーズは?安心し信頼している時のしぐさは?
犬が股の匂いを嗅ぐ心理8:その人の匂いを覚えたい
犬は良い関係を築きたい相手、仲良くなりたいと思う相手、コミュニケーションをとりたいと思う相手に対して、股の匂いを嗅ぎたいと思います。
これは、相手の個人的な匂いを知り、覚えて、相手と親しくなりたいという気持ちが働いていると考えられます。
いつも来ると優しくしてくれる人や、一緒に遊んでくれる人など、犬にとって好きになった人に対して、積極的に股の匂いを嗅ぐという行動がみられます。
匂いを嗅がれる人間側にとっては恥ずかしいという気持ちが働いてしまうのは人間側からすると理解できますが、その人が嗅がれることを拒絶すると犬は困惑します。
できれば、「仲良しになりたいという行動」だということを飼い主さんが相手に説明をして、匂いを嗅がせることができればスムーズに関係を築けるでしょう。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理9:好奇心・遊び・ストレス発散
そもそも犬は匂いを嗅ぐことが大好きです。
初めて嗅ぐ匂いでしたら好奇心を刺激されますし、匂いを嗅ぐこと自体とても楽しい時間なのでそれが「遊び」になることもあります。
それに犬は匂いを嗅いでいる時、頭の中をフル回転させてどのような匂いなのかを分析しています。
「頭を使う=知的欲求を満たす」ことは、犬にとってストレスの発散にもなります。
犬は人間の役に立つことが求められてきたという歴史がありますし、飼い主さんが喜んでくれることに喜びを感じられるという動物です。
逆に、ある程度知的欲求を満たせないと犬にとって喜びを感じにくく、欲求が満たされない「欲求不満」の状況になるのでストレスを感じてしまうんですね。
股の匂いを嗅ぐことはたくさんの情報を得られ、相手のことを知る手段になりますので大きなストレス発散になります。
犬が股の匂いを嗅ぐ心理10:おならに反応した
この後の「犬はお尻の匂いを嗅いで臭くないの?」の章で詳しくご紹介しますが、犬はおならの匂いを臭いと思いません。
おならをしたときの音は、突然聞きなれない音がしたので音の正体を知りたくなったり、急に興味深い匂いがしてきたので匂いの正体を知りたくなったなどで、おならに反応して匂いのもとを調べたくなります。
おならの匂いの元というのは必然的に股の匂いを嗅ぐという行動になるので、おならに反応してしまった時も股の匂いを嗅ぎたがる場合があります。
犬の嗅覚は、おならの匂いからどんな食材を食べたのかを知ることができるので、犬にとって好きな食べ物だったらそのおならの匂いを気に入ってしまうこともあるかもしれません。
犬にとっては、純粋に気になる匂いや音に反応しただけなので、おならの匂いを嗅ぐために股に鼻をくっつけてきても怒らないで上げてください。
犬は股の匂いを嗅いで臭くないの?
犬と人間では「良い匂い(好きな匂い)」「臭い匂い(嫌いな匂い)」というのが根本的に違います。
犬が好きな匂いというのは有機物の匂いだと言われますが、有機物の匂いと言われてもピンとこないと思います。
物質には有機物(有機化合物)と無機物(無機化合物)があります。
もともと有機物は「生体が産出する(=生物がつくりだす)化学物質である」と歴史的に定義されていました。 佐々木化学薬品株式会社HPより
https://www.sasaki-c.co.jp/hatena-k/materials.html
有機物に関して詳しく考えていくと大変なので、簡単に犬が好きなのは「自然(野性)の匂い」と考えてください。
これは野性時代の名残かと思いますが、犬は獲物に関連する匂いが好きです。
動物のうんちや尿臭、汗の匂い、肉のにおい、蒸れた体臭の匂いなどの獲物を連想させる匂いをとても好ましい匂いだと感じます。
もちろん土の匂いや草の匂い、木の匂いなどの自然的な匂いも悪い匂いではありませんが、獲物を連想させる匂いの方が好ましい匂いと感じます。
例えば「おならの匂い」ですが、人間からしたら臭いと感じますが、犬にとっては食べたものが動物の体内で消化された匂いなので獲物の匂いを連想させる良い匂いに分類されることが多いです。
他にも人間の感覚からしたら、土や草の匂いは自然の匂いと考えればよい匂いだと感じられますが、どちらかと言えば自然の中でも花の匂いなどをよい匂いだと感じます。
ですから花の匂いの芳香剤なども良い匂いだと感じるでしょう。
しかし犬にとっては、自然の花の匂いは危険なものか危険じゃないものかを判断する情報としての匂いであり、芳香剤に至っては人工的な匂いなので苦手な匂いになります。
股の匂いは、相手の動物の情報源であり、獲物を連想させる匂いでもあり、コミュニケーションの手段にもなる匂いですから魅力を感じる匂いと言えます。
このように、根本的に匂いに関する価値基準が違うため、特に股の匂いは私たちは臭いと感じるであろう匂いでも犬にとっては非常に魅力的な匂いということになります。
股の匂いを嗅がれる人と嗅がれない人の違い
人の違いを見ていく前に、当の犬の状況によっても嗅ぐ場合と嗅がない場合があります。
これは犬の体調がいまいち優れなかったり、ストレスが原因で精神的に安定していなかったり、何らかの理由で緊張している状況の場合は「匂いを嗅ぐ」という行動が減ります。
犬が健康で元気な状態でも、その犬にとって好奇心を掻き立てられる匂いには差異がありますので、好奇心を感じなければ匂いを嗅ぐ行動は減ります。
次に人間側の違いをご紹介していきますが、先ほど少しふれました犬にとって苦手な匂いである「人工的な匂い」がする人は匂いを嗅がれることが少なくなります。
例を挙げてみましょう。
- 匂いの強い化粧品
- 香水・強い柔軟剤の香り
- マニキュア
- たばこ
- アルコール
- 湿布 など
これらのように体臭と混じるような化学物質の刺激臭がする人の匂いは苦手なので、匂いを嗅ぎたいと思われない可能性が高いです。
逆に匂いを嗅ぎたいと思われるのは、その人のホルモンの分泌量が増えている状態の場合、犬として好奇心を強く抱く傾向にあります。
- 月経時
- 排卵期
- 出産後
- 授乳時
- 性交後(男女)
このように、女性のほうがホルモンの分泌の影響を受ける体の変化が多いので、股の匂いに興味を持たれやすいと言えるかもしれません。
犬が股の匂いを嗅いだ後に注意すること
特に匂いを嗅ぎなれている飼い主さんの股の匂いを執拗に嗅いだ場合、ご自身の健康に関して見直してみてください。
「飼い主の体調異変を感じている」でもご紹介しましたが、実際に犬は「がん」を探知できると言われています。
癌細胞にも独特の匂いがあるようです。
世界的にも日本国内でも「がん探知犬」に関する研究は進められています。
詳しくは、日経メディカルの「がんを呼気で嗅ぎ分ける“がん探知犬”、驚異的な高精度示す米研究が論文化」や日本私立大学協会の「「がん探知犬」でがんの早期発見めざす日本医大教授」をご覧ください。
このような研究から、犬は呼気の匂いから肺がんや乳がんなどを高確率で感知できると考えられています。
がん探知犬として活躍するには特定の訓練を行う必要がありますが、犬は飼い主さんの体内で異常を起こしている原因の匂いを感じ取れる可能性が十分にあります。
愛犬が執拗に股の匂いを嗅いできた時、若干でも体調に異変を感じていたり、体調不良があった場合は一度健康診断を受けてみることをご検討ください。
はっきり体調を伝えられない乳児に関しても、犬は乳児の病気を感知することがあります。
あまり聞き覚えがない病気かもしれませんが、新生児期に発症するメープルシロップ尿症という病気があります。
メープルシロップ尿症を発症すると、メープルシロップのような甘い匂いの尿や汗が出るので、その匂いに犬が反応することがあります。
※メープルシロップ尿症は告示番号244の難病に指定されている病気です
犬の嗅覚のすごさは、人間の想像のはるか上のレベルであることを認識しておくと、愛犬に健康面で助けられることがあるかもしれません。
次は健康面と関係がなく、股の匂いを嗅いだ後の犬の行動から犬の心理を理解し、信頼関係を築くヒントにしていただきたい注意点です。
犬が匂いを嗅いで気が済んだあとに、相手の手をペロッとなめた場合は「あなたに服従しますから仲良くしてください」という意思表示です。
こうなるととても良好な関係が築けたと思っていただいて大丈夫です。
ただ一つ気を付けたい点は、犬を抱き上げた時に手をペロッとなめた場合は全く違う意味になるということです。
このタイミングで手をなめられた場合、「お願いだからおろして!」「自由にして!」というお願いのサインです。
犬と良好な関係が築けたので、喜んで手をなめたと思ってしまいがちですが、実際は嫌がっています。
ただ服従しているので、抱かれても嫌がって暴れたり噛みつこうとはしないですが、犬の心理としては猛烈に下ろしてほしがっています。
非常にわかりにくいサインの出し方なので判断が難しいかもしれませんが、抱いたときに手をなめた場合は一度下におろして解放してあげたほうが良いでしょう。
それでどこかに歩いて行ってしまったら解放してあげた行為が正しかったですし、抱っこしてほしかったらピョンピョン飛び跳ねるなどの要求がみられます。
犬の心理を正しく理解してあげることは犬との信頼関係に大きく影響を与えますので覚えておいていただければと思います。
犬に股の匂いを嗅ぐのをやめさせる方法
犬社会では当たり前の「相手の股の匂いを嗅ぐ」行動ですが、人間としては恥ずかしいからやめてほしいと思う行動だと思います。
犬に股の匂いを嗅ぐのをやめさせるには、特別な指導ではなく「してはいけない行動を教える」やり方をしていただくようになります。
犬が股の匂いを嗅ぎに来たら「ダメ」「ノー」といった禁止用語でいけないことを伝え、手で遮る。
嗅ぐのをやめたら褒める。
それでも嗅ごうとしたら犬の近くから去る。犬を無視する。
このように、しない場合は褒め、した場合は無視をするという基本的ないけないことを伝える方法で教えていきます。
股の匂いを嗅ぐのをやめさせるには上記の方法がありますが、犬が匂いを嗅ぐというのは犬の習性です。
本能の部分にも関わってくることであって、本能を抑えられるというのはとても苦しいことなので信頼関係に悪い影響があるかもしれません。
そもそも犬が相手の匂いを嗅ぐ理由は、「相手を知りたい」という気持ちが働いているからです。
あなたの家を訪ねてきた人に、愛犬が駆け寄ってきて臭いを嗅ぎまくるなんてことがあると思います。
何度か来ている知人よりも、初対面の相手ほど執拗に臭いを嗅いでいると思います。
犬同士の挨拶はお尻のにおいを嗅ぎ合い、その匂いはその犬の名刺といってもいいほどいろいろな情報がわかるようになっています。
股の匂いをメインに人の匂いの情報についてもご紹介してきたわけですが、セールスマンが玄関までうまく行ける方法として、番犬にお尻の匂いをかがせると吠えないと言う話があります。
逆に、途中で嗅ぐのを妨害されると、その人に対して警戒を解かない状態が続くと言われています。
犬にとって股の匂いを嗅ぐことは「失礼な行為」に当たりませんし、お互いを信頼するために必要な行為です。
もし、その犬と良好な関係を築こうと思ったら、満足するまで嗅がせてあげるといいでしょう。
その人を匂いから認知し、信頼することができれば会うたびに股の匂いを嗅ぎたがることはしなくなります。
腰を振るなどの行動がエスカレートしないなら、股の匂いを嗅ぐことを禁止する必要はないかなと思います。
さいごに
最後までご覧いただきましてありがとうございました。
犬が股の匂いを嗅ぐ理由についてご紹介してきましたが、犬側としてはちゃんと匂いを嗅ぐ理由もありましたし、信頼問題にも関するほど重要な行為であることをお判りいただけたと思います。
犬の行動には一つに理由だけでなくたくさんの心理が込められていることが多いものですが、股の匂いを嗅ぐというのも単純に理解しきれない部分がありました。
犬の心理や考えをすべて正しく想像することは難しいですし、いちいち暗記する必要はありませんが、こういった情報を普段から得ようとされているその姿勢が強い信頼関係へと繋がります。
犬はそんな飼い主さんの素晴らしい行動や思考に感じるものがあるのか、関係が良好になるケースが多いと実感しています。
これからも愛犬の一見すると謎行動と思えること関して、興味を持っていだいたことに正しい情報を提供できるように努力していきたいと思っております。